
盛岡の空き家は売れる?売れない家の見分け方と3つの手放し方

盛岡市内に空き家をお持ちで、「そもそもこれは売れるのだろうか」と感じていませんか。
空き家の売却について書かれた記事の多くは、売れることを前提に「高く売る方法」を説明します。
ただ実際には、築年数や立地によっては買い手が付きにくい家もあります。
そして岩手県内では、その線引きがエリアによってかなり違います。
この記事では、まずご自身の空き家が売れる家なのか、売りにくい家なのかを見分ける方法をお伝えします。
そのうえで、そのまま売る・更地にして売る・買取に出すという3つの選択肢を比べ、売却前に整えておくべき書類や、税の特例が使える条件までを整理しました。
「まだ売ると決めていない」という段階の方にも読んでいただける内容です。
その空き家は「売れる家」か「売りにくい家」か
空き家が売れるかどうかは、主に3つの要素で決まります。
築年数、接道、立地です。
| 要素 | 売れやすい | 売りにくい |
|---|---|---|
| 築年数 | 昭和56年6月以降の建築(新耐震基準) | 昭和56年5月以前の建築で、改修の記録がない |
| 接道 | 幅4m以上の道路に2m以上接している | 道路に接していない、または接している幅が2m未満 |
| 立地 | 駅や幹線道路に近く、生活施設がそろっている | 人口減少が進んでいる地域、車がないと生活できない地域 |
築年数は、建物の耐震性と住宅ローンの組みやすさに関わります。
昭和56年5月以前に建てられた家は旧耐震基準のため、買主がローンを使いにくく、購入をためらう理由になりがちです。
接道は、さらに影響が大きい要素です。
建築基準法では、建物を建てる土地は幅4m以上の道路に2m以上接していなければならないと定められています。
この条件を満たさない土地は、今の建物を取り壊すと新しく建てられない「再建築不可」となり、一般の買主はまず手を出しません。
立地については、盛岡市の中心部や、矢巾町・紫波町・滝沢市といった盛岡に近いエリアは比較的需要があります。
一方で、盛岡市の郊外や人口減少が進んでいる地域では、建物を取り壊して更地にしても買い手が付きにくいのが実情です。
3つのうち一つでも「売りにくい」側に当てはまる場合、一般的な仲介での売却は時間がかかるか、成立しないことがあります。
ただし、それは手放せないという意味ではありません。
取れる方法が変わるだけです。
岩手県の人口がどう変わっていくのか、空き家との関係はこちらで解説しています。
岩手県の人口推移と将来の動向
売れる側か売りにくい側か、判断に迷う場合は、まずご自身の不動産の状態を確認してみてください。
建物の価格や解体費用、固定資産税などを入力するだけで、おおよその状況が分かります。
放置した場合に何が起きるか
売りにくい家だと分かったとき、「それなら当面このままにしておこう」と考える方は少なくありません。
ただ、空き家は持っているだけで負担が積み上がっていきます。
固定資産税が上がることがある
住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」があり、固定資産税が軽減されています。
敷地のうち200㎡までの部分は税額の計算の基になる評価額が6分の1に、それを超える部分は3分の1になる仕組みです。
この特例は、建物が「住宅」として扱われていることが前提です。
管理が行き届かず、市から「管理不全空家」や「特定空家」として勧告を受けると、特例の対象から外れます。
土地の固定資産税が数倍に上がることもあります。
特定空家に指定されるまでの流れ
倒壊のおそれがある、衛生上有害である、景観を著しく損なっている。
こうした状態の空き家は、市が調査したうえで所有者に助言や指導を行います。
それでも改善されなければ勧告、命令と段階が進み、最終的には市が代わりに解体して、その費用を所有者に請求する「行政代執行」に至ることもあります。
管理の責任は所有者にある
空き家の屋根材が飛んで隣家の車を傷つけた、ブロック塀が倒れて通行人がけがをした。
こうした場合、責任を負うのは所有者です。
遠方に住んでいて状況を把握していなかったとしても、責任はなくなりません。
盛岡の空き家には、冬の雪下ろしや、春から秋にかけての草刈りという管理の手間もあります。
県外にお住まいの方にとっては、往復の交通費と時間だけでも大きな負担です。
空き家の固定資産税の特例や、解体・残置物撤去の費用については、こちらで詳しく解説しています。
固定資産税の空き家対策どうする?
3つの手放し方|そのまま売る・更地にする・買取に出す
空き家を手放す方法は、大きく分けて3つあります。
それぞれ費用、かかる期間、手元に残る金額が違います。
| 手放し方 | 売主の費用 | かかる期間 | 手元に残る金額 |
|---|---|---|---|
| そのまま売る(仲介) | 仲介手数料 | 数ヶ月〜1年以上 | 売れれば最も多くなりやすい |
| 更地にして売る(仲介) | 解体費用+仲介手数料 | 解体期間+数ヶ月〜 | 解体費用の分だけ差し引かれる |
| 買取に出す | 原則として仲介手数料なし | 数週間〜数ヶ月 | 仲介より低くなるのが一般的 |
そのまま売る
建物が残った状態で、仲介によって買主を探す方法です。
建物がまだ使える状態で、リフォームして住みたい買主が見込める立地であれば、最も多くの金額が手元に残る可能性があります。
ただし、買主が見つかるまでの期間は読めません。
その間も固定資産税と管理の手間はかかり続けます。
更地にして売る
建物を取り壊してから土地として売る方法です。
古い建物が買主のためらう理由になっている場合は、更地にすることで売れやすくなることがあります。
注意したいのは、解体費用が先にかかることと、解体した翌年から住宅用地の特例が外れて固定資産税が上がることです。
更地にしても買い手が付かないエリアで解体してしまうと、税の負担だけが増える結果になりかねません。
解体は、売れる見込みを確認してから判断するのが安全です。
買取に出す
不動産会社が直接買い取る方法です。
仲介のように買主を探す期間がなく、現状のまま引き渡せることが多いため、残置物の片付けや解体をしなくて済む場合もあります。
価格は仲介で売れた場合より低くなるのが一般的です。
それでも、仲介では買い手が付かない物件や、早く手放して管理の負担から解放されたい方にとっては、現実的な選択肢になります。
再建築不可や接道なし、境界が確定していないといった理由で他社に断られた物件でも、買取であれば対応できることがあります。
どの方法が向いているかは、物件の状態と、所有者の方が何を優先するかによって変わります。
手元に残る金額を重視するのか、手放すまでの早さを重視するのか。
まずはそこを整理しておくと、判断がしやすくなります。
空き家バンクに登録しても売れない場合の考え方は、こちらで解説しています。
自治体の空き家バンク活用術とは?
売却前に整えておく書類と、境界・登記の確認
どの方法で手放すにしても、先に確認しておかなければならないことがあります。
起点は「名義が誰になっているか」
相続した空き家の場合、最初に確認したいのは登記の名義です。
名義が亡くなった方のままになっていると、売却の手続きそのものを進めることができません。
買主に所有権を移すには、まず相続人の名義に変える「相続登記」を済ませる必要があります。
令和6年4月から、相続登記は義務になりました。
相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記をしなければならず、正当な理由なく怠った場合は10万円以下の過料の対象になります。
制度が始まる前に相続した不動産も対象です。
名義が誰になっているかは、法務局で登記事項証明書を取れば確認できます。
査定の前に手元にそろえておきたいもの
- 固定資産税の納税通知書(毎年春に届くもの)
- 登記事項証明書、または登記済権利証・登記識別情報
- 建物の図面や、建築確認に関する書類(あれば)
- 境界に関する書類(測量図や、隣地との確認書があれば)
すべてがそろっていなくても、査定や相談は始められます。
ただ、納税通知書と登記の書類があれば、所在地・面積・名義が確認できるため、話がかなり早く進みます。
境界と越境は、売る前に確認しておく
土地の売却で見落とされがちなのが境界です。
隣地との境界を示す「境界標」がない、あっても位置がずれている、隣の家の屋根や塀がこちらの敷地にはみ出している。
古い住宅地では、こうしたことが珍しくありません。
境界がはっきりしないまま売りに出すと、買主から確定を求められて手続きが止まったり、隣地の方との話し合いに時間がかかったりします。
売却を決めてから慌てるより、先に現地を確認しておくほうが結果的に早く進みます。
境界の調査と測量は、土地家屋調査士の仕事です。
当社は土地家屋調査士と宅地建物取引業者を兼ねているため、境界の確認から売却までを一つの窓口で進めることができます。
相続登記が済んでいない、境界が分からない、越境しているかもしれない。
こうした状態でも、整理してから売却に進むことができます。
当社は土地家屋調査士と宅地建物取引業者を兼ねているため、調査から売却まで一つの窓口で対応できます。
使える制度と税の特例|3,000万円控除は「昭和56年5月31日以前」が分かれ目
相続した空き家の3,000万円特別控除
相続した空き家を売ったとき、一定の条件を満たせば、売却による利益(譲渡所得)から最大3,000万円を差し引ける特例があります。
所得税と住民税の負担が大きく変わる制度ですが、使えるかどうかは入口の要件で決まります。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 建築時期 | 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること |
| 建物の種類 | 区分所有建物(マンションなど)の登記がされていないこと |
| 相続直前の状況 | 亡くなった方が一人で住んでいたこと(他に住んでいた人がいないこと) |
| 相続後の使い方 | 相続してから売るまで、住んだり貸したり事業に使ったりしていないこと |
| 売却の期限 | 相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで |
| 売却代金 | 1億円以下であること |
| 建物の扱い | 耐震基準に適合させるか、取り壊して売ること |
最も大きな分かれ目は建築時期です。
昭和56年6月以降に建てられた家は、この特例の対象になりません。
まず登記事項証明書や建築確認の書類で、建てられた時期を確認してください。
建物の扱いについては、売る前に耐震改修をするか、取り壊すのが原則です。
令和6年1月1日以後の売却からは、売った年の翌年2月15日までに買主が耐震改修や取り壊しを行った場合も対象になりました。
売主が解体費用を先に負担しなくても使える道ができたことになります。
控除額にも注意が必要です。
令和6年1月1日以後の売却で、その家屋と敷地を相続した人が3人以上の場合、控除額は1人あたり2,000万円になります。
相続人の総数ではなく、実際にその不動産を取得した人の数で判定します。
この特例を使うには、盛岡市から「被相続人居住用家屋等確認書」の交付を受け、確定申告を行う必要があります。
適用期限は令和9年12月31日までの売却です。
空き家バンクと補助制度
盛岡市をはじめ岩手県内の多くの市町村は、空き家バンクを運営しています。
空き家を登録すると、移住希望者などに向けて自治体のサイトで紹介される仕組みです。
登録そのものに費用はかかりませんが、買い手が付くまでの期間は物件によって大きく異なります。
また、老朽化した空き家の解体や、空き家の改修に使える補助制度を設けている自治体もあります。
対象や金額は年度ごとに変わるため、利用を考える場合は、市町村の担当窓口で最新の内容を確認してください。
特例や補助制度は、条件を一つ外すだけで使えなくなることがあります。
売却の方法を決める前に、使える制度を確認しておくことをおすすめします。
まとめ
盛岡の空き家は、築年数・接道・立地の3つによって、売れる家と売りにくい家に分かれます。
売りにくい側に当てはまっても、手放す方法がなくなるわけではありません。
そのまま売る、更地にして売る、買取に出す。
どれが向いているかは、物件の状態と、何を優先するかによって決まります。
どの方法を選ぶにしても、まず確認したいのは登記の名義と境界です。
名義が亡くなった方のままでは売却の手続きが始められず、境界がはっきりしなければ買主との話が止まります。
また、相続した空き家の3,000万円特別控除は、昭和56年5月31日以前の建築であることが入口の条件です。
当社は土地家屋調査士と宅地建物取引業者を兼ねており、境界の調査から登記の整理、売却や買取までを一つの窓口で対応しています。
他社で断られた物件のご相談も承っています。
「まだ売ると決めていない」という段階でも構いませんので、まずは今の状況をお聞かせください。
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