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再建築不可のリフォームはどこまで可能?できる工事・できない工事の境界線

相続・空き家

笹川 亮輔

筆者 笹川 亮輔

不動産キャリア16年

土地家屋調査士として土地・建物の調査、測量、登記に携わる一方、不動産実務16年の経験を活かし、空き家・相続不動産・売却が難しい「負動産」の問題解決に取り組んでいます。現地調査から売却・買取・利活用まで、不動産の状況に応じた最適な出口戦略をご提案しています。


相続した実家や、長く住んできた家が「再建築不可」だと分かったとき、多くの方がまず考えるのが「では、リフォームならどこまでできるのか」という点ではないでしょうか。

この記事では、再建築不可物件でできる工事とできない工事の線引きを最初にお伝えします。そのうえで、2025年4月の法改正で何が変わったのか、接道が狭い物件でなぜ工事費が上がるのか、そして意外に知られていない「そもそも再建築不可を解除できないか」という選択肢まで、岩手県内の事情をふまえて整理しました。

リフォームを決める前に、一度だけ確認しておいていただきたいことがあります。最後までお読みいただければ、ご自身の家について次に何をすべきかが見えてくるはずです。

【結論】再建築不可でもできる工事・できない工事の線引き

先に結論からお伝えします。再建築不可物件でも、建築確認申請が不要な範囲の工事であればリフォームは可能です。

建築確認申請とは、工事の内容が建築基準法に適合しているかを役所などにチェックしてもらう手続きのことです。再建築不可物件は現行の法律に適合していないため、この申請を出しても通りません。つまり「申請が必要な工事=できない工事」と考えると分かりやすくなります。

区分 主な工事の例
できる(申請が不要) 壁紙・床材の張り替え/キッチン・ユニットバス・トイレなど水まわり設備の交換/エアコンや換気設備の設置・交換/窓を断熱性能の高いものに交換/屋根や外壁の部分的な補修
原則できない(申請が必要) 主要構造部の過半にわたる修繕・模様替え/10㎡を超える増築/建物を解体しての建て替え

判断の分かれ目になるのが「主要構造部の過半」という考え方です。主要構造部とは、壁・柱・床・梁・屋根・階段のことを指します。このうちどれか一つでも半分を超えて手を入れると「大規模な修繕・模様替え」に該当し、建築確認申請が必要になります。たとえば柱が6本ある建物で3本以上を取り替える工事は、これに当たります。

そして注意していただきたいのが、2025年4月の法改正によって、この線引きが以前より厳しくなったことです。詳しくは次の章で説明しますが、木造2階建ての住宅は、これまで確認申請なしでできていた大規模な工事ができなくなりました。ネット上には「再建築不可でもスケルトンリフォーム(柱と梁だけを残す全面改修)は可能」と書かれた情報が残っていますが、改正前の内容である可能性が高いため、鵜呑みにしないようご注意ください。

なぜリフォームに制限があるのか(接道義務と2025年4月の法改正)

再建築不可になる理由は「接道義務」

建築基準法では、建物の敷地は幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならないと定められています。これを接道義務といいます。火災や急病のときに、消防車や救急車が近くまで入れる状態を確保するための決まりです。

この条件を満たしていない土地に建つ建物が、いわゆる再建築不可物件です。岩手県内でも、路地の奥にある住宅、旧集落の中の家、道路に見えても建築基準法上の道路ではない私道に面した家などが該当します。ご自身では「普通に車が通る道に面している」と思っていても、その道が法律上の道路として扱われていないケースは少なくありません。

再建築不可になる理由や、接道なしの物件が売れにくい背景については、こちらの記事で詳しく解説しています → 「再建築不可なのはなぜ 売れない理由は? 接道なし物件の時の対処法と売却の工夫」


2025年4月の法改正で変わったこと

これまで、木造2階建て以下・延べ面積500㎡以下の住宅は「4号建築物」として、大規模な修繕や模様替えでも建築確認申請が不要とされていました。この特例が2025年4月に縮小され、区分が次のように変わりました。

区分 対象 大規模な修繕・模様替え
新2号建築物 木造2階建て以上、または木造平屋で延べ面積200㎡超 建築確認申請が必要
新3号建築物 木造平屋で延べ面積200㎡以下 建築確認申請は不要

一般的な木造2階建ての住宅は、この改正によって新2号建築物に分類されます。つまり、大規模な修繕・模様替えをするには建築確認申請が必要になり、再建築不可物件ではその申請が通らないため、実質的に実施できなくなりました。

一方、木造平屋で200㎡以下の住宅は新3号建築物に当たり、これまでどおり確認申請なしで比較的大きな工事ができます。同じ再建築不可でも、平屋か2階建てかで取れる選択肢が大きく変わるということです。まずはご自身の家がどちらに当たるかを確認するところから始めてください。

「柱一本残せば大規模リフォームができる」は本当か

再建築不可物件について調べていると、「柱を一本でも残せば建て替えではなくリフォーム扱いになるので、実質的に建て直せる」という話を見かけることがあります。結論から言えば、これは誤りです。

法律上の判定は、残した柱の本数で決まるわけではありません。前述のとおり、主要構造部の過半に手を入れるかどうかで決まります。柱を一本だけ残して他をすべて造り替えれば、当然「過半」を超えますから、建築確認申請が必要な大規模な工事に該当します。

もし申請をしないまま工事を進めた場合、行政から工事の中止命令や是正指導を受ける可能性があります。工事の途中で止まれば、費用は出ていくのに家は住める状態に戻らないという最悪の事態にもなりかねません。

また、仮に施工業者から「うちは何度もやっているので大丈夫」と言われたとしても、建物の所有者として責任を負うのはご自身です。その業者がずっと責任を取ってくれるわけではないという点は、必ず頭に置いておいてください。

リフォーム費用の目安と、接道が狭い物件で費用が上がる理由

費用は建物の状態と工事範囲で大きく変わる

リフォーム費用は、建物の傷み具合や工事の範囲によって幅が非常に大きく、一律の相場を示すことは困難です。あくまで目安として、規模ごとのイメージは次のとおりです。

工事の規模 内容のイメージ
部分的な改修 水まわり設備の交換、内装の張り替えなど
中規模の改修 上記に加えて屋根・外壁の補修、断熱改修など
大規模な改修 耐震補強、給排水管の全面交換、シロアリ被害の修繕などが重なるケース

とくに築年数が古い家では、工事を始めてから床下の腐食やシロアリ被害が見つかり、当初の見積もりから大きく膨らむことがあります。古い住宅ほど、事前の調査に手を抜かないことが結果的に費用を抑えます。


接道が狭いこと自体が工事費を押し上げる

そして再建築不可物件には、一般的なリフォームにはない費用要因があります。接道が狭い、あるいは前面が細い通路である場合、工事そのものがやりにくくなるのです。

● 建物の周囲に十分な空間がなく、足場が組みにくい

● トラックや重機が敷地の前まで入れず、資材を手で運び込むことになる

● 解体で出た廃材の搬出も同じく手作業になる

● 足場を組む際や資材の搬入経路として、隣地の所有者に承諾をお願いする必要が生じることがある

同じ内容の工事でも、こうした条件が重なると人手と工期がかかり、その分が見積もりに反映されます。再建築不可物件のリフォームを検討する際は、必ず現地を見てもらったうえで見積もりを取ってください。 図面だけで出された金額は、後から大きく変わる可能性があります。

資金調達:住宅ローンが難しい理由とリフォームローン

再建築不可物件のリフォームでは、資金の調達も課題になります。

一般的な住宅ローンは、建物と土地を担保に取ることを前提としています。ところが再建築不可物件は、建て替えができない分だけ担保としての評価が低くなるため、金融機関が融資に慎重になりやすいのです。

その場合の選択肢となるのが、担保を必要としないリフォームローンです。借入の上限額や期間、金利は金融機関や商品によって異なりますが、住宅ローンと比べると借入可能額が小さく、返済期間も短く、金利は高めになる傾向があります。

岩手県内であれば、岩手銀行、北日本銀行、東北銀行、盛岡信用金庫といった地元の金融機関でリフォーム向けの商品を扱っています。地域の事情を理解している担当者に、早い段階で相談しておくと進めやすくなります。

また、住宅の省エネ改修や耐震改修には国や自治体の補助制度がありますが、建築確認申請が必要な工事は再建築不可物件では実施できないため、結果として補助の対象から外れる場合があります。 制度の名前だけを見て使えると判断せず、対象要件を必ず確認してください。

リフォームの前に確認したい「再建築不可は解除できないか」

ここまでリフォームの話を続けてきましたが、工事に踏み切る前に、一度だけ確認していただきたいことがあります。

それは、この土地は本当に、これからもずっと再建築不可のままなのかという点です。

費用をかけてリフォームをしても、再建築不可という条件そのものは解消されません。将来お子さんに引き継ぐときも、売却するときも、同じ制限がついて回ります。一方で、条件次第では再建築ができる状態に変えられるケースがあります。そして制度を知らないまま、安い金額で手放してしまう方は決して少なくありません。

再建築が可能になる主なルートは、次のとおりです。


① 建築基準法43条2項1号の「認定」

敷地が幅員4m以上の道に2m以上接しているものの、その道が建築基準法上の道路ではない、というケースが対象になります。特定行政庁が基準に適合すると認定すれば建築が可能になり、建築審査会の同意が不要なため、後述の許可より手続きが簡易です。


建築基準法43条2項2号の「許可」

敷地の周囲に公園や広場などの広い空地がある場合などに、特定行政庁が安全上支障がないと認め、建築審査会の同意を得て許可するものです。岩手県では手続きを効率化するため一括同意の制度が設けられており、一定の基準に該当する案件は建築審査会への個別の付議が省略されます。


③ 隣地の一部を購入する、または借りる

隣接する土地の一部を取得して接道義務を満たすという方法です。敷地が広がる分、資産価値そのものも上がります。ただし隣地所有者との交渉になるため、境界の認識の違いや過去の経緯から感情的な行き違いに発展することもあり、測量図などの客観的な資料をもとに進めることが欠かせません。


④ 大規模な修繕・模様替えのための認定制度

2024年4月施行の政令改正により、接道義務を満たさない既存の建物でも、特定行政庁の認定を受ければ大規模な修繕・模様替えができる制度が新たに設けられました。建て替えではなくリフォームを目的とする場合の選択肢になり得ます。ただし運用や基準は自治体ごとに定められるため、対象になるかどうかは個別の確認が必要です。


いずれも「現況を実際に測ってみないと分からない」

ここが最も大切な点です。これらのルートに該当するかどうかは、登記簿や公図の上の情報だけでは判定できません。

実際の現場では、公図に描かれた形と現況の敷地の形が違っていた、隣の家の塀や配管が越境していた、私道の持分や掘削の承諾がないままになっていた、増築部分が登記されていなかった、といったことがよく起こります。そして、こうした点を整理した結果、当初の前提が変わることがあります。

当社は土地家屋調査士と宅地建物取引業者を兼ねています。 現地の測量と境界の確認、登記の整理、そしてその先の売却まで、窓口を分けずに一括して対応できる体制です。「そもそも解除できる可能性があるのか」という最初の判定からご相談いただけます。

リフォームの見積もりを取る前に、まずはご自身の土地の状況を確認してみませんか。「接道が足りていないと言われたが、詳しいことは分からない」という段階でも構いません。現地の状況をうかがったうえで、取り得る選択肢を整理してお伝えします。 → ご相談はこちら

リフォームか、売却か、解除を目指すか──岩手での判断の目安

選択肢が見えてきたところで、どう判断するかを整理します。

選択肢 向いているケース 注意点
リフォームして住み続ける ご自身や家族が住み続ける予定がある。建物の傷みが比較的軽い 費用をかけても再建築不可のままで、将来の売却時も同じ制限が残る
再建築可能にすることを目指す 接道の状況に検討の余地がある。隣地との関係が良好 測量や申請に時間と費用がかかり、必ず認められるとは限らない
現況のまま売却する 住む予定がなく、管理の負担や固定資産税を減らしたい 一般的な相場より価格は下がる。売却先を選ぶ必要がある

判断に大きく影響するのが、その物件がどのエリアにあるかです。

盛岡市の中心部や、矢巾町・紫波町・滝沢市といった地域は比較的需要があり、条件が整えば買い手が見つかる可能性があります。一方、盛岡市の郊外や人口減少が進んでいる地域では、建物を解体して更地にしても買い手が付きにくいことがあります。同じ「再建築不可」でも、置かれている状況はエリアによってかなり異なります。

再建築不可物件が実際にどの程度価格に影響するかは、こちらで解説しています → 「再建築不可の売却価格はどれくらい下がる?相場の目安や注意点も紹介」


整理した結果、売却できた事例

当社が実際に扱った事例をご紹介します。

花巻市石鳥谷町にある築28年の戸建てで、住宅ローンの残債が約900万円あるのに対し、査定額は約600万円という状況でした。さらに調査を進めると、登記されていない増築部分と付属建物があり、隣地との境界について認識の相違があり、給水管が隣地を越境していることも分かりました。

このまま売りに出しても、買主側が不安を感じて話がまとまりません。そこで登記を整理し、境界を確認し、越境の状態を明確にしたうえで売却に進めた結果、無事に手放すことができました。

建物や土地の状態を整理すると、それまで「売れない」と思われていた前提が変わることがあります。 これは再建築不可物件についても同じことが言えます。

ご自身の不動産が今どういう状態にあるのか、まずは把握するところから始めてみませんか。建物の価格や解体費用、固定資産税などを入力するだけで、おおよその状況を確認できます。 → 負動産無料チェックはこちら

空き家を解体した場合の固定資産税については、こちらもあわせてご覧ください → 「固定資産税の空き家対策どうする?特例や解体と残置物撤去の費用ポイント」

まとめ

再建築不可物件でも、建築確認申請が不要な範囲であればリフォームは可能です。内装や設備の交換、断熱性能を高める工事などは問題なく行えます。

一方で、主要構造部の過半にわたる工事や10㎡を超える増築は原則としてできません。とくに2025年4月の法改正以降、木造2階建ての住宅は大規模な修繕・模様替えにも建築確認申請が必要となり、以前より制限が厳しくなっています。

そして最後にもう一度お伝えしたいのが、リフォームに踏み切る前に、再建築不可を解除できる可能性がないかを一度確認していただきたいということです。接道の認定や許可、隣地の一部取得など、条件次第で道が開けるケースは実際にあります。そしてその判定は、現地を測ってみないと分かりません。

当社は土地家屋調査士と宅地建物取引業者を兼ねており、現地調査から境界の確認、登記の整理、売却までを一括して対応しています。岩手県内の不動産について、「どうしたらいいか分からない」という段階からご相談いただけます。


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人口動向を個人で変えることはできませんが、ご自身の不動産をどうするかは今から選べます。「売れるのか分からない」「まず何から手をつければいいのか」という段階からご相談いただけます。岩手県内の空き家・空き地を専門に扱っておりますので、他社で難しいと言われた不動産もお気軽にお問い合わせください。

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