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岩手で実家の相続放棄を考えたら|手続きと費用、放棄しない選択肢も解説

不動産売却

笹川 亮輔

筆者 笹川 亮輔

不動産キャリア16年

土地家屋調査士として土地・建物の調査、測量、登記に携わる一方、不動産実務16年の経験を活かし、空き家・相続不動産・売却が難しい「負動産」の問題解決に取り組んでいます。現地調査から売却・買取・利活用まで、不動産の状況に応じた最適な出口戦略をご提案しています。


親が亡くなり、岩手の実家を相続することになった。
でも、住む予定もなく、管理していく自信もない。
そんなとき、まず思い浮かぶのが相続放棄ではないでしょうか。

相続放棄には3か月という期限があり、一度認められると取り消すことはできません。
そして、放棄すると実家だけでなく、預貯金などすべての財産を手放すことになります。

この記事では、相続放棄の手続きと費用を整理したうえで、実家だけを手放したい場合に検討できる別の方法もお伝えします。

岩手で実家を相続放棄する際にまず確認すべき基本事項

岩手県で実家の相続放棄をお考えの方は、まず以下の基本ポイントを確認してください。次の表にまとめていますので、ご参照ください。

確認事項内容注意点
熟慮期間「相続の開始を知ったとき」から3か月以内に家庭裁判所へ申述が必要これは「手続きを完了する期限」ではなく「申述書を提出する期限」です。期限内提出が最優先です。
全遺産の放棄実家だけでなく、預貯金や負債などすべての遺産を放棄する必要あり一部のみの放棄は認められません。注意が必要です。
単純承認のリスク実家に手をつけたり、処分や管理などを行うと「単純承認」とみなされ相続放棄できなくなる可能性あり相談・判断は慎重に。手続き前の行動は特に注意が必要です。

まず、「相続放棄できる期間」は、被相続人の死亡や自分が相続人になったことを知った時点から数えて3か月以内です。これは“熟慮期間”とされ、この期間内に家庭裁判所に相続放棄の申述書を提出する必要があります。なお、提出期限内に申述書さえ提出すれば、審査や手続きの完了が3か月を過ぎても問題ありません。

また、実家だけを放棄する、というような“部分的な相続放棄”は認められず、すべての相続財産(プラスの財産・マイナスの負債を含む)を放棄する形になります。この点は重要な注意事項です。

さらに、申述前に実家を処分したり預貯金を引き出すなど「相続財産に手をつけた」行為があると、それが「法定単純承認」とみなされ、相続放棄自体が認められなくなる可能性があります。たとえば、実家を壊したり改造したり、口座からお金を引き出すような行為は避けなければなりません。

以上の3点 ――①3か月以内の申述、②全遺産の放棄、③財産に手をつけない ―― をしっかり理解しておくことが、岩手県での実家相続放棄を進める際の出発点になります。

岩手県での具体的な手続きの流れと費用負担について

岩手県で実家の相続放棄を進める際には、まず〈被相続人の最後の住所地〉を管轄する家庭裁判所に手続きを申述します。盛岡家庭裁判所が本庁として位置し、花巻・二戸・遠野・宮古・一関・水沢の各支部、さらに久慈・大船渡の出張所でも対応可能です。郵送により提出できるため、遠方の方でも手続きがしやすくなっています。

家庭裁判所の種類所在地・対応地域郵送提出の可否
盛岡家庭裁判所(本庁)盛岡市◯
支部・出張所(例:花巻・二戸・遠野など)各地域◯

(郵送での対応も可能な点も含めて、遠隔地からの申述も安心です。)

手続きの大まかな流れは以下の通りです:

  • 必要書類を準備(相続放棄申述書、被相続人・申述人双方の戸籍謄本や住民票除票など)
  • 収入印紙および郵便切手を用意して提出
  • 家庭裁判所から送付される「照会書」に回答(自身の意思での申述かどうかを確認)
  • 「相続放棄申述受理通知書」が届いた時点で手続き完了

費用については、一般的に自身で申述する場合は合計でおよそ3,000円~5,000円程度です。収入印紙が800円、郵便切手が400円~500円、さらに戸籍類の取得費用などが該当します。戸籍類の費用は、住民票の除票300円、戸籍謄本450円、除籍・改製原戸籍750円などが目安です。

このように、岩手県では管轄の裁判所が複数あるため、地域に応じた窓口選びや郵送対応により負担を軽くしながら手続きを進めることができます。また、専門家に依頼する選択肢もあり、その場合は別途数万円の報酬が必要です。

相続放棄とあわせて知っておきたい代替的な処理方法

岩手県で実家の相続を放棄する前に、不動産の価値がプラスである場合は活用や売却を検討することが重要です。例えば相続登記を義務化した法律改正により、不動産の売却や名義変更を行う際に司法書士のサポートが必要となるケースがあります。登記や名義変更を進めつつ、売却による現金化はリスク回避にもつながります。

項目内容
活用・売却価値ある実家を有効活用・売却して現金化の検討
国庫帰属制度条件を満たせば国に土地を引き渡す制度(審査手数料1筆14,000円+管理費相当額負担金)
相談窓口の活用司法書士会や法テラスなどで無料相談を活用

また、「相続土地国庫帰属制度」は、自分の居住予定がなく、管理が負担な土地を国に帰属させる制度です。申請には審査手数料が土地1筆あたり14,000円かかり、承認されると10年分相当の管理費負担金(原則20万円程度)を納付する必要があります。審査には約8か月~1年がかかることを想定する必要があります。

さらに、司法書士会では岩手県内(盛岡市、葛巻町、大槌町など)で面談による無料相談を実施しており、不動産登記や相続放棄の手続きに関する実践的な情報を得ることができます。

法テラス(日本司法支援センター)も、経済的に厳しい事情がある方を対象に、予約制・相談無料で弁護士・司法書士への法律相談が可能です。盛岡市をはじめ宮古市、大槌町など複数の相談窓口があり、条件を満たせば専門家費用の立替制度も利用可能です。

相続放棄を考える方の多くは、借金があるからではなく、「実家を引き継ぎたくない」という理由で調べ始めています。
ただ、相続放棄では実家だけを放棄することはできません。
預貯金や他の財産も、すべて手放すことになります。

実家だけが負担なのであれば、いったん相続したうえで売却する、不動産会社に買い取ってもらう、引き取ってもらうといった方法もあります。
売れないと思っていた実家でも、建物を残したまま買取の対象になることがあります。
買取や引取が難しい物件の考え方は、盛岡の訳あり物件の引取りの記事で詳しく紹介しています。

相続放棄の期限は3か月です。
その間に、実家がいくらで手放せるのか、あるいは費用を払ってでも引き取ってもらうべきなのかが分かれば、放棄するかどうかを落ち着いて判断できます。
まずは実家の状態を確かめるところから始めてみてください。

相続放棄を決める前に、実家を手放すといくらかかるのか、あるいはいくらになるのかを確認しておくと判断しやすくなります。
建物の価格や解体費用、固定資産税などを入力するだけで、おおよその状況が分かります。

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相続放棄を正しく進めるための注意点

岩手で実家を相続放棄される方は、以下のような点に注意して進める必要があります。

注意点内容具体的なリスク
① 相続放棄後の撤回不可相続放棄は、原則として家庭裁判所で申述が受理された後は撤回できません。後から事情が変わった場合でも取り消せず、取り返しのつかない状況になる恐れがあります。民法では、相続開始を知ってから3か月以内という制限も厳格に定められています。
② 空き家の保存義務が残る可能性2023年4月の民法改正により、「現に占有している」相続放棄者には、保存義務(以前の管理義務)が残ることが明確化されました。たとえば、実家の鍵を保持していたり定期的に様子を見に行ったりしている場合は、相続放棄後も保存義務を負います。放置による倒壊や損壊が第三者に被害を与えた場合、損害賠償責任を問われる可能性があります。さらに、放置が原因で「特定空き家」や「管理不全空き家」として行政の指導対象となり、固定資産税の軽減措置が外れるリスクも存在します。
③ 専門家への事前相談の重要性専門用語や手続きの誤解を避けるため、弁護士や司法書士などの専門家に事前に相談しながら進めることが重要です。法律のミスや手続き漏れによって放棄が無効になったり、保存義務が残って損害賠償リスクや税制上のデメリットを被ったりすることを防げます。

相続放棄後に撤回できないという点は、権利放棄の性質上、制度として厳格に扱われます。また、保存義務に関しては、2023年4月の改正民法では「現に占有している」人に限ると明文化されており、遠方在住などにより占有実態がない場合は責任が及ばないケースもあります。とはいえ、その判断は曖昧な面もあり、誤認によるトラブルを避けるためにも、専門家に相談のうえ慎重に進めることをおすすめします。

相続放棄のほかに、売却・買取・有償引取・国庫帰属制度を含めた手放し方の比較は、売れない負動産の処分方法の記事でまとめています。

まとめ

岩手県で実家の相続放棄を検討している方にとって、手続きには期限や注意点が多くあります。必ず相続開始を知った日から3か月以内に行動すること、実家のみならず全遺産が放棄対象になること、また一度放棄すると原則として撤回できないことを理解することが重要です。手続きの流れや費用、地域ごとの裁判所情報も押さえ、もし迷いがある場合は専門家への相談をおすすめします。適切な知識と準備が、後悔しない選択につながります。

相続放棄をするか、実家だけを手放すか。
期限内に判断できるよう、状況を伺って整理します。
お電話やフォームが難しい方は、LINEでのご相談も受け付けています。

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